2013年4月18日木曜日

【質問】 質問にお答えします! その9

31-1.多角形ポリゴンについての質問です。MAXで多角形を扱う場合、内部的には三角形で構成されているので、特に多角形だからということで問題になることはないとおもうのですが? 

これはMAXに限ったことでは無いのですが、MAYAでも同様に3Dソフト内で多角形を扱う場合は、内部で三角ポリゴンとして保管しているケースが多いです。
ただ、セミナーでもお話しましたが、3Dソフトウェアから外に出した場合(他のソフトに読み込んだ場合、HOUDINIやREALFLOW、その他の3Dソフトなど)などは、状況が少し異なります。レンダーウェアで扱う時も同様です。多角形をサポートしていないソフトウェアで多角形を扱う場合は、面が欠損したり、法線が裏返ってしまったりと言うことも珍しくありません。
海外のプロダクションでは一つのソフトウェアで完結するケースはほとんどありません。特に大手プロダクションの場合はなおさらです。したがって、モデラーはありとあらゆるソフト、レンダーウェアに対応したモデルを作る必要があります。なので、分割面を自分でコントロールできない多角形や負四角形は使用を避けた方が良いと言う訳です。
  

31-2.また、多角形や負四角形は制作現場でも使用不可の現場が多いと思うのですが、いかがお思いでしょうか?

僕はそうは思いません。リアルタイムの経験はないので、リアルタイムの制作現場においては分かりませんが、少なくとも映像制作においては、まだまだ多角形や負四角形、法線の反転、不正ポリゴンが使用されています。これは国内外問わず、意識しているモデラーの人は少ないです。あくまでも、僕の経験上の範囲での話になってしまいますが。


32.海外のモデリングと日本のモデリングの違いについて教えてください。
基本的に違いはないと思います。ポリゴンベースでモデリングしますし、それほど大差はないように感じます。
ただ、セミナーでも言いましたが、日本のプロダクションではソリッドモデリングが主流で、サブディヴィジョンモデリングはあまり使われていない印象です。特に背景に関しては。あとはディスプレイスメントマップで細かいディティールを作る海外のプロダクションに対して、日本では真面目にポリゴンで作っている印象を受けます。これはレンダーウェアの違いからかもしれません。。。

あとポリゴン数に関しては言えば、僕の経験だけで言えば、日本国内のプロダクションのモデリングの方がポリゴン数は多かったですね。これは僕が勤めたプロダクション、案件がたまたまそうだっただけかもしれませんが、大体2倍から3倍ぐらい重いですね。スクエニ時代に関しては、さらに重いデータを扱っていました(^^;
ヒーローアセットに関してはそれほど大差ないように思いますが、その他の部分では日本のプロダクション、案件の方が重いデータを扱っている印象です。

これは先ほどのレンダーウェアの違いや文化的な違いがあるのかもしれませんが、細かいディティールから作り始める日本のスタイルに対して、海外の場合はシルエットから作り始めるので、見えない部分は、非常にラフでシンプルな作りだったりします。(プロジェクトや監督に依存する部分もあるかもしれませんが、ILMとWETAに関しては例外です。。。この二つのプロダクションを基準に考えないほうがいいですねw)


33.北田さんは日本の業界に何を求めますか?
非常に難しい質問ですし、僕が日本の業界に対して意見して良いのかどうかわかりませんが。。。労働環境の改善は以前から言っているように、なんとかしたいですね。あとはデモリールの公開とかもプロダクション、アーティストが胸を張って、僕が作りました!!!っと言えるような環境になれば良いかな?っと思います。現状、守秘義務や肖像権の問題で、公開できないものがほとんどだと聞いています。僕もそれにむけて、何かしら尽力できればっと思っていますが、個人ではどうにもならない部分でもありますので。。。非常に難しい問題だと感じています。


34.日本の学生と海外の学生の作品にはかなりの差があると、以前Twitterなどで呟かれていましたが、何故その差が生まれたとおもいますか?
これは単純に日本と海外プロダクションの差だと思っています。海外プロダクションと日本のプロダクションで差が生まれたのと同じで、それと同じだけ、学生に差が出たのだと思います。僕が学生の頃に比べ、今の学生の作品ははるかにレベルも高いですし、決して日本の学生が成長していない訳ではないと思います。ただ、海外のプロダクション、学生の方が、成長が早かっただけなのかな?っと。


35. 北田さんは帰国しないのでしょうか?->起業はしないの?
これも難しい質問ですね(^^; 本帰国、起業というのは将来の選択肢の一つであることは確かですが、いますぐにどうこう?というのは考えていません。帰国の時期もまだ未定です。ただ、今後も日本の業界のために何か出来ることがあれば、尽力したいなっというのは変わりません。業界の数年先が見えないのと同じで、現状は状況に臨機応変に対応するしかないのかな?っと。ただ、目標というか、ぼんやりと自分なりに思い描く将来像はあるので、当面はそれに向けて頑張るだけかな?っと。


36.海外でも大きなプロダクション以外はだいぶdnegと事情が違いそうな気がしますが、その辺も教えて欲しいです。小さい海外プロダクションはどうなの?
中小規模でのプロダクション経験が無いので、聞いた範囲でしかお答えできませんが、予算や規模などもかなり違うし、労働環境も違うと聞いています。ただ大手でも残業代を支払わない会社や、年棒制、プロジェクト契約に切り替えている会社は多いと聞いています。現にUKの会社は残業代を支払いません。これはそれぞれの国や文化、法律によって異なると思います。


36.海外で言うR&Dと国内で言うR&Dの違いは?
おそらく根本的な部分で”開発”をする”検証、研究”をするという意味では変わらないと思います。ただ、国内に比べて、海外のプロダクションではその比重が日本よりも大きいと感じています。これはプロダクションの規模にもよりますが、大手であれば開発対する比重は非常に大きいですし、予算もしっかりと確保されている印象を受けます。これも僕の経験の範囲での話なので、プロダクション、国によって多少は異なると思います。


37.R&Hなどの件以降の海外の雰囲気は?
DDの倒産以降、映像、ゲーム問わず、不幸なレイオフのニュースが毎日飛び交っているので、明日は我身?という感じでしょうか?実際に元同僚や知人も職を失いましたし、明るい話題は少ないですね。。。。


次回は、しばらく放置してしまっていましたが、 僕が現在も帰国をせず、なぜ海外就労に拘るのか?なぜ海外就労を続けたいのか?その理由と現在の心境をまとめられればっと思います。

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