2010年5月17日月曜日

【仕事】 海外就職のデメリットとリスク

僕も現在、直面している海外就職のデメリットとリスクに関して紹介したいと思います。
これは僕が個人的に感じたことなので、すべてのケースにおいて適合する訳ではありません。
あくまでも参考程度に読んでいただければ幸いです。

デメリット
・雇用問題
・Visa問題
・海外医療

リスク
・帰国後の雇用確保


雇用問題
海外の多くのプロダクションは、正社員を雇わずフリーランスのデザイナーを雇用します。
したがって、プロジェクトが終了すると、多くのフリーランスは他の会社へ行くか、別の会社を探さなければいけません。
プロジェクトが継続して受注できているような大きなプロダクションなら、フリーランスとしても数年働けるケースもあると思います。
また人材難なLighting TD、VFX TD、Shader Writer、MattePainterど職種によっては継続して働ける場合もあります。
多くのプロダクションが仕事を断続的にしか受注できていません。そのためプロジェクトが終わると、蜘蛛の子を散らしたように、バラバラになっていきます。
(こちらでは派遣切りやレイオフという表現はあまり使わず、むしろ契約が終了するのは当たり前という感じです。)

そして、数ヵ月後に始まるプロジェクトのために、またフリーランスを各国から集めるのです。
この時に、再び出戻りで元のプロダクションに戻ってくる人も多いようですが、プロジェクトの予算、規模によって雇用人数も変わってします。必ずしも戻ってこれるとも限りません。

僕自身も例外ではありません。
僕はALと7ヶ月契約(契約延長オプション付)を結びました。プロジェクトの兼ね合いから3ヶ月の延長オファーを受けましたが、第二子出産で7月に一時帰国しなければならないので、1ヶ月だけ契約を延長しました。
僕のように延長のオファーを受ける人もいれば、延長のオファーすらないまま契約終了する人も多く存在します。
これは海外では当たり前の事です。また、僕のように家族を従えての移住には収入にも大きく影響してきます。
家族を養わなければならないので、必然的に給料の最低ラインというのが、独身者よりも高くなります。
独身者が有利というわけではありませんが、独身者の方が交渉の幅は広いと思います。
海外で雇用を確保し続けるのが最も困難な問題です。 特に初めての海外就職だった場合は、なおさら大変だと思います。

Visa問題
雇用の確保につながる話ですが、外国人である以上Visaは必ず必要になります。国によって取得難度、有効期間など様々ですが、基本的にどの国でも例外なくVisaが失効すれば働けなくなります。
そうなると残された道は帰国するしかありません。再び海外で働くためには、また高い費用と手間を掛けてVisaを取得しなければなりません。海外で働く上でVisaは切っても切り離せない問題です。

海外医療
以前の日記でも述べましたが、医療に関しては永住権、市民権を持たない人と持っている人では天と地ほどの差があります。僕のように小さな子供(1歳7ヶ月)の子供や妊婦の妻を持ている場合は、医療問題は大きな問題です。
仮に独身者であっても、いつ事故や病気になるかわかりません。しかし、外国人である以上はすべてに保険が適用される訳ではないので、常に高額の医療費を支払うことを念頭においておかなければなりません。


帰国後の雇用確保
海外で数年、十数年働いたとして、Visaの失効やその他の理由で帰国を余儀なくされた場合、帰国後の雇用確保というもの問題になってきます。日本の場合、海外ほど完全な分業制をしいていないので
海外でスペシャリストとして働いていたからといって、雇用が確保できるとは限りません。
日本の多くのプロダクションはジェネラリスト制をしいています。モデリングしか出来ない人、テクスチャーしか描けない人、そういう状態で職を探さなければなりません。
また、日本では多くの会社が中途採用に35歳未満という条件が付きます。これはあくまでも目安なのでしょうが。
海外では当たり前のように40歳50歳近い人がモデリングやテクスチャーを描いていますが、日本ではなぜか年齢制限があります。
おそらく日本は30歳を過ぎたあたりから、管理職に就くからだと思うのですが。。。
管理職よりも歳老いた作業員は不要ということなんでしょうか?
僕はいまだに日本の中途採用、転職に年齢制限があるのが不思議です。

多くのアーティストは自国で5年~10年近く経験をつんで、海外に出て行く人がほとんどです。
5年以上の実務経験がないとVisaが下りない国もあるので、必然的に海外で働き出すのは30前後になります。実際にALでも20代の人はほとんどいません。多くが30前後、もしくは35歳前後の人がほとんどです。
海外で働いた時点で、年齢的に日本への帰国、復帰というのが難しくなります。


僕が感じた大きな問題をざっくりと挙げてみましたが、その他にも年金や手当てを老後、日本で受領できないという可能性もあります。
(年金に関しては、任意継続で海外からも支払い可能ですが、もらえる額はおそらく最低額だと思います。)
その他には、言葉の問題、制作環境、ワークフローの違い、言葉が通じないがために、自分の能力を100%発揮できない。誤った修正をしてしまい普段よりも手間がかかる。
制作環境、ワークフローの違いから、日本で働いていたように自分の能力を発揮できない。
(時間と共に慣れてくれば、この問題は解消されます。)

その他にも大小含めてデメリット、リスクが存在します。海外就職はメリットだけではありません。
メリット、デメリットを十分理解していただいて、今後も海外就職について考えて頂ければ幸いです。

番外編(デベロップメント締切直前)
昨日の日記であえて書かなかったのですが。。。。現在のライフスタイルについて紹介します。
公開直前のデベロップメント締切の最終段階だとお考え下さい。

AM08:30 出社、朝食
AM09:00 作業開始
PM14:00 遅めの昼食
PM19:00 コーディネイターと進捗確認、作業内容打ち合わせ10分程度
PM21:30 退社
PM22:00 帰宅(それよりも遅くなるケースもあり)

というように労働時間だけで言うと、日本とさほど大差ない感じになります。
そして、このライフスタイルを週6勤~7勤で1ヶ月~2ヶ月ほど続けます。
(日本のように全員に近い状態で出勤という訳ではなく、締切が近い人が入れ替わりで作業する感じです。)
締切前はどこの国も似たような感じになります。ただ、日本との違いは残業代がきちんと支払われる。
もしくは、有休として変換されるという事ぐらいでしょうか。


本日は海外就職のデメリット、リスクに関して紹介させていただきましたが、参考になったでしょうか?
明日は幾人かの人から、質問を頂いているので、答えられる範囲でお答えしようかと思っています。

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